不退去とは
消費者が、事業者に対して、住居や職場などから退去してほしいという意思を示したにもかかわらず、
事業者がそれらの場所から退去しないことをいいます。
事業者の不退去により、消費者が困惑して自由に意思決定をすることができないまま、
契約を結んだ場合には、その契約を取消すことができます。
「退去すべき旨の意思を示した」ことになるのは
「帰ってくれ」、「お引き取りください」などと、
直接的に意思を示した場合はもちろん「退去すべき旨の意思を示した」ことになります。
また、具体的、直接的に意思を告げていない場合であっても、下記のケースのように、
社会通念上「退去すべき旨の意思を示した」とみることができる場合には、
取消しが認められます。
- 消費者が時間的な余裕がないことを伝えた場合
- 時間がありませんので
- いま取り込み中です
- これから出かけます
- 契約する意思のないことを消費者が明確に告知した場合
- 口頭以外の手段により消費者が意思を表示した場合
- 消費者が、身振りや手振りなどの動作によって、契約しないという意思を表示した
困惑とは
消費者がどうしていいのか分からなくなり、自由な判断ができない状況をいいます。
事業者が住居などに居座っていた時間の長短にかかわらず、
消費者が、自由な判断ができない状況にされてしまったのであれば、
「困惑」したことになります。
事例
- 「子供が寝るので帰って」と言ったにもかかわらず、事業者が退去しなかったのは、不退去に該当し、取消しが認められる。
- 何度も断っていたにもかかわらず、事業者が退去しなかったのは、不退去に該当し、取消しが認められる。
- 帰ってほしいというそぶりが、身振り手振りで「帰ってくれ」「契約を締結しない」という動作をする等、
事業者にも明確に意思が伝わるレベルのものであれば、退去すべき旨の意思を示したことにあたり、取消しが認められる。
- 電話で勧誘することは、不退去にあたらない。
- 最終的に納得したうえで購入したのであれば、困惑したために契約したとは言えず、取消しは認められない。
消費者契約法4条3項1号条文
- 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次の各号に掲げる行為をしたことにより当該各号に定める誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。
- 重要事項について事実と異なることを告げること。 当該告げられた内容が事実であるとの誤認
- 物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものに関し、将来におけるその価額、将来において当該消費者が受け取るべき金額その他の将来における変動が不確実な事項につき断定的判断を提供すること。 当該提供された断定的判断の内容が確実であるとの誤認
- 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対してある重要事項又は当該重要事項に関連する事項について当該消費者の利益となる旨を告げ、かつ、当該重要事項について当該消費者の不利益となる事実(当該告知により当該事実が存在しないと消費者が通常考えるべきものに限る。)を故意に告げなかったことにより、当該事実が存在しないとの誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。ただし、当該事業者が当該消費者に対し当該事実を告げようとしたにもかかわらず、当該消費者がこれを拒んだときは、この限りでない。
- 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次に掲げる行為をしたことにより困惑し、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。
- 当該事業者に対し、当該消費者が、その住居又はその業務を行っている場所から退去すべき旨の意思を示したにもかかわらず、それらの場所から退去しないこと。
- 当該事業者が当該消費者契約の締結について勧誘をしている場所から当該消費者が退去する旨の意思を示したにもかかわらず、その場所から当該消費者を退去させないこと。
- 第1項第1号及び第2項の「重要事項」とは、消費者契約に係る次に掲げる事項であって消費者の当該消費者契約を締結するか否かについての判断に通常影響を及ぼすべきものをいう。
- 物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの質、用途その他の内容
- 物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの対価その他の取引条件
- 第1項から第3項までの規定による消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消しは、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
外部リンク
- 消費者契約法逐条解説(消費者の窓)