不利益事実の不告知とは
- 事業者が勧誘の際に、
- 重要事項や重要事項に関連する事項について、消費者の利益になることだけを説明して、
- 不利益になることについては、故意に説明しなかったために、
- 消費者が説明されなかった不利益な事実はないものと誤認して、契約を結んだ場合、
消費者は、その契約を取消すことができます。
「不利益事実の不告知」により契約を取り消すためには、
上記の要件をすべて満たしている必要があります。
事業者の「故意」が必要
事業者が不利益な事実を説明しなかったというだけでは、取消権は行使できません。
事業者が不利益な事実を知っていたにもかかわらず、
あえてその事実を消費者に対して説明しなかった場合、
これは故意に説明しなかったことになりますから、
取消権を行使できることになります。
取消すことができない場合
事業者が不利益事実を故意に説明しなかったために、
消費者が誤認して契約を結んだ場合でも、
事業者が、消費者に対して不利益事実を説明しようとしたにもかかわらず、
消費者がこれを拒んだ場合は、取消すことができなくなります。
たとえば、事業者が商品について説明しようとしたときに、
消費者が「説明を受ける時間がない」「説明を受けることが面倒」などと、
断った場合には、取消権は行使できません。
ただし、事業者が「説明には○時間かかります」などと言って、消費者に説明を拒ませた場合は、
消費者自らが積極的に説明を拒んだわけではないので、取消権を行使できます。
事例
- 事業者に「眺望・日当たり良好」と説明されてマンションを購入したのに、半年後には隣接地に建物ができて、
眺望・日照がほとんど遮られるようになった。
事業者がマンション建設計画を知りつつ、それを説明しなかった場合は、不利益事実の不告知にあたり、取消しが認められる。
消費者契約法4条2項条文
- 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次の各号に掲げる行為をしたことにより当該各号に定める誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。
- 重要事項について事実と異なることを告げること。 当該告げられた内容が事実であるとの誤認
- 物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものに関し、将来におけるその価額、将来において当該消費者が受け取るべき金額その他の将来における変動が不確実な事項につき断定的判断を提供すること。 当該提供された断定的判断の内容が確実であるとの誤認
- 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対してある重要事項又は当該重要事項に関連する事項について当該消費者の利益となる旨を告げ、かつ、当該重要事項について当該消費者の不利益となる事実(当該告知により当該事実が存在しないと消費者が通常考えるべきものに限る。)を故意に告げなかったことにより、当該事実が存在しないとの誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。ただし、当該事業者が当該消費者に対し当該事実を告げようとしたにもかかわらず、当該消費者がこれを拒んだときは、この限りでない。
- 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対して次に掲げる行為をしたことにより困惑し、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。
- 当該事業者に対し、当該消費者が、その住居又はその業務を行っている場所から退去すべき旨の意思を示したにもかかわらず、それらの場所から退去しないこと。
- 当該事業者が当該消費者契約の締結について勧誘をしている場所から当該消費者が退去する旨の意思を示したにもかかわらず、その場所から当該消費者を退去させないこと。
- 第1項第1号及び第2項の「重要事項」とは、消費者契約に係る次に掲げる事項であって消費者の当該消費者契約を締結するか否かについての判断に通常影響を及ぼすべきものをいう。
- 物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの質、用途その他の内容
- 物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの対価その他の取引条件
- 第1項から第3項までの規定による消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消しは、これをもって善意の第三者に対抗することができない。
外部リンク
- 消費者契約法逐条解説(消費者の窓)